創業70年を迎え、これまでを振り返りながら、現在の心境をお聞かせください。
川合
私が社長に就任してから、10年が経過しようとしています。
なんといっても、一番の大きな出来事は「東日本大震災」です。
水道は復旧見込みなく、ガソリンもなく、とても困難な日々でした。
もちろん、原発の問題もありました。
原発周辺エリアも営業区域でしたので、顧客軒数は1000軒前後減りました。
当時は私と社員1名での営業体制が続きました。
どう考えても、全ての顧客宅を訪問することができませんでした。
人員が全く足りない状態で、さらに退職者の発生もありました。
私と一人の社員の2名で、フル稼働の時でしたね。
正直なところ、よく働きましたし、よく働いてくれたと思います。
では、その社員さんには感謝ですね。
川合
はい。
彼は今も勤務していますし、誇りを持って仕事をしています。
本当に感謝しています。
しかしながら、震災では多くのことを学びました。
会社運営で一番大事なことは、「人」であることを改めて痛感しました。
「人」とは、お客さま・取引先メーカー様・スタッフ(従業員)・配送会社・システム運営会社、同業他社社長様、全ての関係者様が対象になります。
どんなことを実感されたのですか?
川合
例えば、スタッフに関していうと、忙しくてどうにもならない時に退職されたりするわけです。
もともと、定着率が悪かったのは正直なところです。
ですが、震災時・震災後の「私にとって大事な時」にもにもサラッと退職者が発生していくわけです。
結局のところ、「信頼関係が築けていなかった」と実感したわけです。
今までのあり方が、悪かったと身にしみました。
その後、どう変わりましたか?
川合
信頼関係の構築が最優先事項だと考えるようになりました。
まず、全ての勤務条件を見直しました。
信頼関係を築くには、「時間」が必要です。
ならば、世間よりも比較的良い勤務条件に変更して、まずは定着率を上げよう、と考え実行しました。
もちろん、上場している大企業のようにはいきませんが、福島県で勤務するには悪くない条件を設定しました。
労働時間、休日、給与体系、有給取得、育児休暇など、全ての条件です。
全労働条件改定後も、さらに、より良い条件に変更しています。
労働条件だけでは、信頼関係は築けませんが、最初の一歩を踏み出すのには有効と判断しました。
結果はどうですか?
川合
昨年までは、1038日間退職者が発生しませんでした。1000日を超えることができました。
現在は(平成29年8月)は、退職者が300日間程度発生していません。
退職者数・離職率は経営上の重要指標と考えていますので、それなりに満足しています。
男性社員ですが、2回目の育児休暇取得者もありました。と言っても数週間ですが・・・。
いわき市では、おそらく数少ない「男性育児休暇取得者」だと思いますよ。
そして、全スタッフが18時には自宅に戻ります。
毎日家族団らんで夕食を食べていると思います。
※2024年8月12日現在 退職者は979日間発生していません。
それは良かったですね。
川合
はい、ありがとうございます。
一方で、新しい課題が発生してます。
他業他社・同業他社が働いている時間に、弊社スタッフは既に自宅でくつろいでいるわけです。
当然、コストの問題・競争力の問題が発生します。
それは、そうですね。どのように対応されているのですか?
川合
一言でいえば、効率化ですね。
研修教育・訪問先順序の検討・事務所滞在時間の最小化・主業務のみに注力できる体制作り、など多岐にわたります。
まだまだ、改善必要事項が多く、日々あせっています。(笑)
また、綺麗ごとだけではすまされないことも多くあります。
ただ、勤務定着率・勤続継続率を上げることで、削減可能コストが多いのも事実です。
数字では表現できませんが、ホスピタリティの精度なども考慮するようにしています。
職種上、「営業」は長時間労働になりがちですが、「販売」「事務」ではそんなに長くはなりません。
もしくは、労働時間の見込みが立ちます。
ですので、おおまかな流れとしては、「営業」から「販売」へ主業務をシフトすることで効率化を図っています。
もっと言えば、決められた応対をする「接客業」と言えるかもしれません。
今後は、どのような会社でありたいと考えていますか?
川合
経営理念の「川合薬品に関わる全ての人に豊かな生活を提供する」の実現が全てです。
そのために、人に投資をして、人に経営資源を集中させています。
お客さまに愛される、支持されるためには、大変重要なことだと考えています。
もちろん、企業ですから、ビジネスですから、きれいごとだけではすまない部分もありますが・・・
求職者の方には、経営理念よりも倒産しない会社・継続して働ける会社であることが最重要判断事項だろうと思います。
どうしても、「配置薬販売業」が持つ、古臭いイメージのせいで、「この会社に勤務していて大丈夫なんだろうか?」と考えることもあるかと思います。
私自身、そう思うことが多々ありましたし・・・。
そのためスタッフには、全体の損益分岐点等を公開していますので、ある意味安心して勤務ができると思います。
とにかく、地域の皆様に対しては、愛される会社でありたいですね。
「超高齢化社会」「地域の過疎化」「セルフメディケーション」「社会保障費の削減」「ボチボチな生活の実現・継続」こんなキーワードにシンプルに役に立てる会社でありたいと考えています。
仕事のやりがいはなんですか?
川合
私も毎日、訪問業務・廻商業務をしています。
その中で、感じることは、「体調良くなった」はもちろん、「雑談」をすることで感謝される時にやりがいを感じます。
うまく伝わるかわかりませんが、こちらが「感謝する・感謝したくなる」時にも、やりがいを感じることが多いですね。
一日に、一軒で発生すれば、良い方だと思います。
もちろん、お客さま相手ですから、ストレス感じることもあります。(笑)
それも、一日で、一軒あるかないか、だと思います。
社員にとってどのような社長でありたいですか?
川合
愛されたいです。(笑)
もちろん、私もスタッフを愛しています。
メリハリのある社長でありたいと考えています。
仕事のオン・オフを大切にしています。
時間内で頑張る、時間内で頑張れる環境を作り出せる社長でありたいと考えています。
社員旅行・会食・飲み会では全力で接待しています。(笑)
※2024年8月現在 社員旅行・飲み会・会食は一切行っていません。希望される場合は開催します。
どのような新人さんを求めていますか?
川合
お客さまの話を、傾聴できる人ですね。
「聴いてるフリ」ではなくてキチンと聴ける人を求めています。
案外、難しいことです。
そして、聴いたこと・理解したことを相手に伝える・表現できる人を求めています。
最低条件は、年相応の健康がある方ですね。
新人教育では、どんなことを学びますか?
川合
マニュアルに沿って学んでいただきます。
応対マニュアル、事務マニュアル、商品案内マニュアル、機器操作マニュアル等で構成されます。
現場同行は、新人さんが納得されるまで、継続します。
実際は、現場同行は数日で終わることが多いですね。
それよりも、復習・確認に時間がかかります。
10年勤続しても、いまだに、勉強をしています。
最後に求職者の方にメッセージお願いします。
川合
素直な方、場を盛り上げるのがうまい人、コツコツ業務ができる方、いろいろな方の応募をお待ちしています。
大事なのは、全体で、チームとして機能することが一番大事です。
全員が4番バッター・ストライカー・チャンピオンでなくてもいいんです。
営業能力が高い方、コミュニケーション能力が高い方だけを募集しているわけではありません。
日々の様子は、ブログでも公開していますので、ご覧ください。
多くの方とお会いできることを楽しみしております。